2. 電子書籍出版への流れ・・・
東京国際ブックフェアの招待券にあった「デジタル パブリッシング フェア」の文字に触発されて、書いている原稿の電子書籍化を思い立ったものの、そんなことが果たしてほんとうに可能か、会場に行ってみるまでまるで見当がつきませんでした。おそらく、たいていの方がそうですよね。それで、三日間通って、私なりにわかったことを書いてみたいと思います。
まず、電子書籍をつくるソフトですが、「XMDFビルダー」を使います。幾つかあるソフトのうちで、最もポピュラーなのがこれのようです。というか、私はこれに一番惹かれました。単純にSHARPさんのブースが一番大きくて目を引き、展示の仕方が素人にもわかりやすかっただけかもしれませんが。
三日間行った最初の日にまず理解したのは、電子書籍の編集ソフトは「クォーク」ではなく、この「XMDFビルダー」ということでした。それだけで私には充分な収穫でした。なにしろ、とにかく未知の領域への踏み込みです。「クォーク」を習ってでも頑張ろうと覚悟していたのを、「XMDFビルダー」に正しく修正できたのですから。もっとも、あとでこのソフトは使わなくていい結果になるのですが。
会場ではすでにこの程度の知識のある人が対象ですから、このソフトがどういうものかなど、とうてい質問する勇気がなく、パンフレットを手に帰宅して、ネットで検索して調べました。「XMDFビルダー」は昨年までは業者さん向けにしか公開されていず、検索しても出てこなかったそうです。今年から一般の出版社さんにも販売することになったとのことでした。ということは、昨年思い立っても不可能だったということ。ラッキーと思いました。価格には専門の業者さん向けと一般の出版社向けの二つがあり、一般の出版社さん向けなら、私でも手の届かないことはない価格。この段階で、自分で電子書籍をつくる夢は叶いそうな手応えを覚えました。
二日目。「XMDFビルダー」を使えば電子書籍ができることがわかったので、今度はつくったものをどう流通に乗せるかの、出版への流れを見ました。簡単に図式化すると、「コンテンツ提供の出版社→取次ぎ業者→コンテンツプロバイダ→購入者」となります。
「コンテンツ」という言葉を、皆様はご存知ですか? 私は最初の日に手にしたカタログではじめて目にしてちんぷんかんぷん。通常使っている意味と、電子書籍業界での「コンテンツ」は当然違うでしょうから・・・。ここでは電子書籍そのものと解釈していいのでしょうか。あるいは、小説とかマンガとかの素材のことのようです。
私としては、その「コンテンツ」を販売するネットの出版社を考えていますから、ゆくゆく私が関わることになる位置は、コンテンツプロバイダだと解釈しました。これが大間違いで、結局最後の日に質問させていただいたメーカーの方に、そんなだいそれたことができるはずがないとあきれられ、意志の疎通のとれない状況に陥る結果になってしまいました。
三日目は東京国際ブックフェアの最終日で、もうあとがありませんから、今日こそは質問する覚悟ででかけました。
結果からいいますと、私なりに理解して資金調達まで決意して臨んだ「コンテンツプロバイダ」の夢は、無残にも崩されました。「コンテンツプロバイダ」になるにはライセンス契約というものをしなければならず、それには何十万という資金が必要です。一応そこまで覚悟して出向いたのですが。
私の勘違いと、それを理解されないメーカーさんのやりとりは、最初まったく噛み合いませんでした。当然ですよね、こんな「ど」のつく素人が、こんな超最先端の巨大な業界に、個人で乗り込んでくるなんて、その方にとってはまったくの想定外だったでしょうから。あまり噛み合わないので、みかねて途中からコンテンツ制作会社の女性の方が加わって、それからようやく双方の思い違いを正すことができました。
私が立上げようとしている出版社は、流通の流れでいうと「コンテンツプロバイダ」ではなくて、最初の「コンテンツ提供の出版社」だったのです。「コンテンツプロバイダ」をつくるにはコンピューターに精通したプロの人材を置かなければならず、サイトを構築するのに百万とか二百万かかるので、そんなこと貴女にできるはずないでしょう・・・と暗に見下すような言い方で説得され続け、私はそういう話ではないのにと思い続け・・・で、話は堂々巡りでした。
そのとき、脇で聞いてらした制作会社の女性の方が、私がいっているのは「コンテンツプロバイダ」ではなくて、「コンテンツ提供の出版社」のことだと気づいてくださったのです。私は「そう、そうなのです」とほっとし、メーカーさんは「それなら、できます」と納得され、やっと話がほぐれました。冷や汗たらたらの時間でした。
そして、見えてきたこと。
私がしようとしているのは「電子書籍にする原稿を用意する場所」で、その原稿は、自分で「XMDFビルダー」を購入して作業しなくても、その女性のいられる「コンテンツ制作会社」に入稿すれば電子書籍化してくださり、「コンテンツプロバイダ」を通じて読者へ配信していただく・・・。私が立ち上げようとしているネット会社での配信は不可能だけれど、コンテンツをラインナップして紹介することは可能・・・
と、こんなふうになりました。「XMDFビルダー」を習わなくてもよくなったかわりに、振り出しに戻って、もしかしたらまた「クォーク」を習わなくてはならなくなったようです。「コンテンツ制作会社」に入稿するとき、編集済みの原稿とそうでないのとでは金額が一桁違うのです。
たった三日間でのはじめての領域への挑戦です。まだ思い違いがあるかもしれません。もっと難解な問題が控えているかもしれません。が、ひとまず、メーカーさんの言葉の「それなら可能です」を信じて、これから踏み出していくことにします。
でも、当面しなければならないことは、「原稿を書き上げること」。まずは紙本での結晶へ。しばらくはこのブログを更新しつつ、原稿に専念することにします。
織田百合子Official Website http://www.odayuriko.com/

