2008.4.23 源氏物語千年紀情報・・・国文学研究資料館移転記念特別展「よみがえる時―春日懐紙を中心に―」
国文学研究資料館がこの春、品川区から立川市に移転しました。それを記念して「よみがえる時―春日懐紙を中心に―」が開催されます。新しい庁舎を見るのも楽しみなので、行ってみたいと思っています。
■「よみがえる時―春日懐紙を中心に―」
日時: 5月26日(月)~6月20日(金)
場所: 立川市新庁舎 03-3785-7131
春日懐紙というのは、「奈良春日若宮の神主であった中臣祐定をはじめ、祐定の周辺の歌人たちが用いた懐紙。紙背に万葉集を書写してあるのが特徴」だそうです。
懐紙って、後鳥羽院の熊野御幸の際の熊野懐紙や、称名寺の連歌懐紙など、背景に奥深い歴史があって興味深いですね。
称名寺の連歌懐紙は、たしか、鎌倉幕府が滅亡して、当然檀越だった貞顕らもいなくなったあとほどない時期に書かれたものと記憶しています。そんな時期に連歌を?と疑問をもちましたが、おそらく追悼の意を込めた会だったのだろうと読んだ記憶があります。たった一枚の懐紙ですが、それを知ってから見ると、ぐっと胸迫るものがあって、辛くなりました。それにしても、優雅な追悼・・・とも思います。
品川区にあった古い国文学研究資料館は、こどものころの私が毎日遊んで過ごした戸越公園と道をはさんで真隣です。そのころの公園には孔雀がいて楽しかった思い出は以前、このブログでご紹介しました。
孔雀とともに思い出深いのが、この資料館の場所で、当時、そこは淀んだ池に鬱蒼と生い茂った木立ちの枝が垂れ、ほの暗い庭。その奥に壊れそうな廃屋があって、とても不気味でした。敷地は隙間のあるコンクリートの塀にぐるりと囲まれていましたから、私はよく、怖いもの見たさに、その隙間から覗き込んで見ていたものです。
この資料館の場所も、戸越公園も、江戸時代は細川家、そして明治時代に三井家の所有となったものです。池のある庭園をもつ廃屋は三井家のものだったのでしょうか。しょっちゅう見ていても、そのおどろおどろしさに見飽きなくて、そんな覗き込んでいる幼い私の姿が自分で見えるようですから、よほど興味があったのでしょうね。『秘密の花園』というこども向けの小説が好きで、それが私の「庭好き」の原点と思っていますが、結構、その先にこの三井家の光景があるのかも。
私のなかではずっと廃屋だったのが、いつのころからか国文学研究資料館になり、それを知ったとき、まず思ったのは、「あ、あの池がある敷地の中に入れるかも・・・」でした。それで、図書室を利用しがてら行ってみたら、淀んだ池や鬱蒼とした木立は綺麗に整備されていたものの、配置や光景は当時のまま。建物も、奥の蔵もそのままで、こどものころには禁断のお邸を、内側から見ていることが不思議でした。そんな事情で、資料館の関係者でもないのに、なんだか自分のもののような親近感を勝手に覚えていたのですが・・・
移転した立川市は三鷹市とは近くです。図書室を利用させていただくには便利になりました。でも、もう、あの三井家の廃屋の敷地に入ることができなくなったと思うと、寂しいですね。
戸越公園http://www.eurus.dti.ne.jp/~toshibo/togoshikouen01.htm
国文学研究資料館では、10月には源氏物語一千年記念特別展「このわたりに若紫やさぶらふ-源氏物語画帖と古写本の世界-」が開催されるそうです。
■「このわたりに若紫やさぶらふ-源氏物語画帖と古写本の世界-」
日時: 10月4日~10月31日
概要: 重要文化財等の絵画、古写本など多数展示。期間中ギャラリートーク数回あり
国文学研究資料館http://www.nijl.ac.jp/
「よみがえる時―春日懐紙を中心に―」http://www.nijl.ac.jp/~koen/tenji08.htm
「春日懐紙」http://www.nijl.ac.jp/~koen/20041kasuga.htm
織田百合子Official Website http://www.odayuriko.com/