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2008.5.28 京都紀行9(ラスト)・・・京都文化博物館【源氏物語千年紀展~恋、千年の時空を超えて~】

111  今回の京都行きの最大の関心だった京都文化博物館【源氏物語千年紀展~恋、千年の時空を超えて~】は、私にとってまさに「驚異の展示」でした。「こんな展示あるう?」って、ほとんど内心絶句しつつ観てまわりました。

 さすが京都ですね。展示内容の集め方もさることながら、集める方針のしっかりされていること!! 凄いと思いました。写真は会場でいただいてきたチラシです。二つ折になっていて、開くと中にやはりカラーで展示物の写真が幾つか紹介されています。

 ここでは写本に関する展示をご紹介させていただきます。現在執筆中の原稿は『河内本源氏物語』という写本をテーマにしたものですので、当然、この展覧会への主目的も写本を観ることでした。が、予想以上の展示で感動してしまいました。

●出品目録「第3章 写本 その営みと美」から
・重文 源氏物語(前田本) 藤原定家筆
・重文 源氏物語(大島本) 飛鳥井雅康奥書
・重文 源氏物語(尾州本) 北条実時書
・重文 源氏物語(平瀬本)
・重文 源氏物語(陽明文庫本)
・重文 源氏物語(保坂本)
・重文 源氏物語(中山本)
・国宝 明月記         藤原定家筆
・国宝 源氏物語奥入    藤原定家筆
・重文 源氏釈
・    紫明抄
・    河海抄
・重文 花鳥余情
・    源氏小鏡
・    岷江入楚
(以下、省略)

と、こんなふうに一目で写本の歴史が見てとれるようになっています。執筆中の原稿『紫文幻想―源氏物語写本に生きた人々―』は、ゆくゆくは「源氏物語(尾州本) 北条実時書」にたどりつく内容です。尾州家本といいますが、それは現在の所蔵先の蓬左文庫が徳川ゆかりである関係で、もとはといえば鎌倉の、金沢文庫で完成したものです。書写者の北条実時は鎌倉幕府の重鎮だった人物で、金沢文庫の創設者です。鎌倉が滅びたために流出して現在に至ったいるという経緯です。

 私の原稿の目的は、源氏物語千年紀の今年、鎌倉でもこんな立派な源氏物語活動があったということを知っていただいて、鎌倉でも千年紀を祝いたいとの一心からでした。ほんとうは昨年末には刊行して、鎌倉の方々に何かイベントを企画していただきたかったのですが、本の内容が思いがけず膨らんで、千年紀ももう半分過ぎた今になってもまだ執筆中という状態です。先日「平瀬本」についての項目を書き終えました。

 他に、国宝源氏物語絵巻だったとされる断簡「若紫」があって、私ははじめての対面です。あまりにこってりと低俗な修復が施されていて、まさかあの高名な国宝絵巻の断簡だとはと思われていなかったのです。佐野みどり先生の『じっくり見たい源氏物語絵巻』で紹介されていて知りました。こんなところで拝見できるなんてと興味津津で観させていただきました。

織田百合子Official Website http://www.odayuriko.com/

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