2008.8.15 写真展【写真でたどる源氏物語の歴史―鎌倉で『河内本源氏物語』ができるまで―】を開くことにしました! 25
昨日、写真の焼付けの依頼をしてきました。イーストウエストさんというプロラボさんです。その代官山のサービスセンターに伺いました。
http://www.eastwest-inc.co.jp/servicecenter/center_daikanyama.html
プロラボさんなんて、写大の学生時代以来ですね。その後、写真に携わっていても、羽田空港時代も、遺跡発掘調査時代も、報道用の写真はみんな自分のところの現像処理で間に合っていましたから。昨日も昔のプロラボさんの話をして、私もほんの短期間ですが、新橋の日本発色さんで働かせていただいたことがありますから、思いがけず昔が甦りました。でも、その日本発色さんがもうなくなって、近くではコダックのEPRが製造中止でなどというお話まで伺うと、時代の移り変わりとはいえ唖然としました。EPRにこだわって使っていた私たち人種にはショックな話です。
展示する写真は全部で40枚。そのうちの、ポジからの焼き付けが7枚。あとの33枚はデジタルです。源氏物語の歴史を追うテーマの写真展ですが、私の写真の歴史にもなって面白いと思いました。先日も書きましたが、写大時代はフィルムカメラのモノクロ。羽田空港時代もそうです。遺跡発掘調査では報告書用にモノクロとカラーのリバーサル(ポジ)。個人ではずっとネガカラーで焼付を依頼していました。この時代が長く、今回どうしても欲しいと思った六波羅蜜時もこのなかです。でも、ネガカラー分は探し出すのが大変で、今回は見送りました。
ポジを使うようになったのは、遺跡発掘調査の発表で会場でスライドを使う必要から。それと、焼き付ける必要がない手軽さからでした。なので、それは鎌倉を撮るようになってからのことで、必然的に鎌倉の写真はポジです。
デジタルに移行したのは2003年10月です。今でもはっきり覚えているのですが、当時北極で磁気嵐が起きていて、長野でオーロラ観測ができた話題になったときです。執筆で夜中に起きていることが多い私は、夜空が異様に赤いので何だろうと不思議に思って見ていました。すると、翌日の新聞に長野でオーロラが観測されたとの記事。写真を見ると、私が見ていた赤い夜空そのものでした。私は「関東でも観られたオーロラ」という歴史的事実に立ち会ったんだと感動しました。空を撮るようになったのはそれからです。そして、機動性と、現像に出さなくて済むという手軽さ、経済性で、その後はすっかりフィルムカメラから離れました。
でも、雲を撮るのが最優先のデジタルでしたから、機動力が優先。まさか作品として展示するなど考えていませんでしたから、画素数を最大には撮っていなかったんですよね。今回の33枚のうち29枚がコンパクトカメラで撮った分。一眼レフで撮ったのは全くの最近分でわずか4枚という悲惨な現状です。昨日のイーストウエストさんでも、応対して下さった中島さまに画素数が小さい旨のご指摘をいただきました。それは承知での展示ですということでお願いしました。これからは画素数を最大にして撮ることにしなければ・・・
焼付は来週早々にあがります。いよいよ現実味を帯びてくるでしょうね。具体物を目の前にしたら。(まだ、何かと用事に追われて、それを処理するのにいっぱいで、写真展の実感が湧きません。)
でも、DMの葉書を送らせていただきましたので、少しずつ反応をいただいています。長くご無沙汰している方にも送らせていただいたら、「ずいぶん面白そうなことをしているんですね」ってすぐメールでいただいたり・・・(文化庁のお仕事をされている方からのこのお言葉は嬉しかったですね。やはり、文化に携わる方には面白いテーマだってことを確認した思いで。)
今、これを打っているあいだに郵便が届いたので見たら、月光の会でお世話になっている太田代志朗さんからの封書が入っていて、「写真展には伺いたいと思います」って。図書新聞に書かれた梅原猛先生の対論集『神仏のしづめ』のご書評が同封されていて、太田ワールド満載のご執筆で、なんだか懐かしく拝見させていただきました。太田さんとはちょっと時代がずれていますが、同じ「中世」にかかわる者としての同士です。
昨日も一つ嬉しいメールをいただいていて、それは朝霞市博物館の学芸員の方からで、お送りさせていただいた私の葉書をコピーして館内に貼って下さるって。朝霞市博物館では10月から11月にかけて源氏物語千年紀の企画展をされるんです。その関係で送らせていただきました。企画展は楽しみですし、この企画展のお話から奮起して写真展を決意したようなところもあります。
ともあれ、あまり写真選定に没頭したせいか現実に浮上しきれなくてまだ頭が冴えませんが、そうもいってられませんので、動くことにします。来週早々、できあがった写真を手にしたら感動するんでしょうね。
冒頭の写真は宇治上神社です。源氏物語ミュージアムから宇治川へと戻る途中にあります。もう一つ宇治神社があるのですが、立ち寄りませんでした。でも、宇治神社こそ、宇治十帖の八の宮邸があったとされる地なんですよね。写真展では間違っているとご指摘されそうですが、宇治神社と同じ対岸の神社としてこの写真を展示させていただきます。好きなんです、この写真。ミュージアム等で現代の人が当時を復元した「平安時代」でなく、ここには本物のそれがある気がして。
■これを書いているあいだに、終戦記念日の放送がありました。黙祷しながら思ったのですが、文化は何よりも強いんです。文化を正しく認識して心に組み入れていたら戦争になんてならないんです。源氏物語は文化です。日本の大事な文化です。その文化のために私は写真展をしようとしているのだと思いました。
織田百合子Official Website http://www.odayuriko.com/