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2008.9.27 実践女子大の源氏物語千年紀記念講演・・・横井孝先生の写本のお話

558  実践女子大の源氏物語千年紀記念講演がこれから毎週土曜日に開催されます。詳細は下でお知らせさせていただいています。その第一回が今日でした。横井孝先生の「源氏物語の100年」というお話で、楽しかったです! 100年?、0が一個足りない・・・っていう事ではなく、明治以降の源氏物語写本の研究経緯の内容です。

 長く書く時間がないので要約させていただきます。

 今のように簡単に活字で読むことができなかった時代は『湖月抄』で『源氏物語』を読んでいて、それは『青表紙本源氏物語』系統の本文でした。が、それは藤原定家の手が入っていて紫式部の原典そのものではないということで、『河内本源氏物語』が発見されれば或いは原典がわかるかもと期待されていた・・・

 大正10年に『平瀬本源氏物語』が発見され、その後『尾州家河内本源氏物語』が発見されるなど『河内本源氏物語』系統の本文が発見されて、紫式部の原文がわかるかもという期待で一時期『河内本源氏物語』系統への熱狂がおこった・・・

 が、『河内本源氏物語』もまた源光行・親行親子の手が入っていることがわかると、その熱狂は急激に冷めていった・・・

 昭和28年から池田亀鑑氏が『源氏物語大成』を刊行され、そこで『青表紙本源氏物語』の大島本こそがもっとも『源氏物語』の本文として信頼しうると提唱されたことで、『青表紙本源氏物語』が世を席巻し、全集本はすべて『青表紙本源氏物語』系統という現在に至っている・・・

 が、阿部秋生氏が『源氏物語の本文』という本を出され、そこに、そもそも『青表紙本源氏物語』系統、『河内本源氏物語』系統という分類で処理しようとしたところに間違いがあると指摘。それまで、池田亀鑑氏の膨大な精力あるご研究に圧倒されて大島本一辺倒に疑問の余地ももたなかった事実に気がつくと、別本系統に期待が移る下地ができた。

 昨今の連続する『源氏物語』別本系統の新発見ニュースは、阿部氏のご論が熟成してきた時期ゆえのこと・・・

 というようなご論旨でした。私も写本の流れについてはいろいろ見ていましたから、一応理解してはいたつもりでした。が、阿部秋生氏の『源氏物語の本文』は知らなかったので、早速探して読ませていただこうと思います。阿部先生のご著書で一番写本の流れを理解させていただいていたのですが、そうした存在の学者さんだったんですね。

 阿部先生は帝国大学をご退官後、実践にいらして、それから数年ほど籠って地道にご論を積み重ねていられたそうです。そうして発表されたのが今書いたような内容のご論旨。実践に移られての熟成ということのようです。

 会場では、日野のキャンパスで開催される所蔵品の展示図録も配布され、拝見しました。とても楽しみな内容。10月4日からです。

 写真は富士山の見える夕景。ここのところずっと写真展のことで歴史のほうにばかり目が行っていましたから、気分を一新したくてまったく違う画像を探してみました。

 

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