2008.10.6 陸奥の歌枕「末の松山」「沖の石」を見てきました。
仙台に来ています。明日の用があって、今日は時間があったので、仙台周辺でどこか行きたい場所はないかと探したら、歌枕で有名な「末の松山」と「沖の石」が気軽に行ける距離とわかったので行ってきました。
ほんとうはモバイルPCを持って来ていて、写真をアップする予定だったのですが、このPCは先日再インストールしていて、入っているとばかり思っていたフォトショップがまだ消えたままになっていました。それで画像処理ができないので、写真のアップは明日、帰宅してからにします![]()
なぜ歌枕かって、その発端から書きますね。夏に『西行 歌枕―その生涯と名歌の舞台を旅する―』という写真が主体の綺麗な雑誌を購入して見ていました。マガジン・マガジン社のSUN-MAGAZINE-MOOKシリーズです。
実は私、西行をあまり好きではありませんでした。男の方から見ればカッコいい生涯でしょうけれど、絵巻にある「とりすがる家族を蹴り飛ばして」まで出家して去っていく男って、女の側からみたら、勝手でしかないと思いません? それがあるので、「花の下にて春死なん」なんて詠まれると反発が先にたって、どうしても素直になれませんでした。
なのにどうしてこの冊子を買ったかというと、写真が満載で、それが全国津々浦々を旅した西行の歌枕の写真だから、西行抜きに歌枕の入門書として気に入ったんです。で、最初から読みました。そうしたら、西行の出家前の青年期から、出家して年老いて亡くなるまでの生涯を順にたどったものですから、西行その人が理解できて、以前ほど嫌いではなうなりました
。
私が嫌いだったのは若いときの西行・・・、歌人として円熟したのは晩年の西行・・・、同じ西行でもじつは同じ人物ではないんです。そこを区別して歌を読まなければならないのに、私は混同してしまっていたんです。若いときの消してしまいたい記憶って、誰にでもありますよね。それを晩年まで引きずっていっしょくたに同じ人物として評価されてはたまりませんよね。若いときの罪は許さなくては・・・? でも、西行の崇徳院を偲んで讃岐を訪ねた西行は昔から好きでした。それと、待賢門院璋子を慕っていること・・・。
で、この冊子によって導かれた歌枕の地への魅力がありますから、仙台に来ることになってまたこの冊子を取り出しました。陸奥の歌枕には何があるかしら・・・と。知っている分には松島とか平泉とか思い浮かびますが、今の私には新鮮味がないし・・・とページを繰っていたら目に留まったのが「末の松山」と「沖の石」でした。目を疑いました。こんな有名な歌枕に気軽に行けるなんて・・・と。
仙台から石巻へ向かう仙石線に乗ると、途中、塩釜を経て多賀城があります。その先が松島で、終点が石巻です。塩釜は源融のゆかりの地ですから、ここにも惹かれました。「末の松山」と「沖の石」は、多賀城駅で降りて多賀城址とは線路をはさんで反対側にありました。あまりに有名で昔から馴染んでいた歌枕の地。それを現実にまのあたりにしている感覚って、不思議でした。ちょっと形容のしようのない感動です。『西行 歌枕』によりつつ説明させていただきます。
■末の松山
清原元輔が詠んだ「契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波こさじとは」で有名です。清原元輔は清少納言の父。この地を襲った津波も決してこの山を越えることができなかったという言い伝えから、「あってはいけない」「心変わりしない」という気持ちを詠む歌枕になったという。
http://www.city.tagajo.miyagi.jp/monosiri/bunkazai/sisitei/mo-bu-si-suematu.html
■沖の石
二条院讃岐の「吾が袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らぬかわく間もなし」で有名です。(私の記憶している歌は「人こそ知らね」ですが、いろいろあるようですね。)「磯辺の石は波が引けば見られるが、沖にある石は人に見られることはない」という意味から、届かぬ恋心を歌う歌枕、だそうです。これは住宅地のなかにぽっかりあって、鉄柵で囲まれたその中はまるで海浜の岩場。藤壺のような苔みたいなものが張り付いた、まさに海中にある石がこんもり山になっているんです。とても不思議としかいいようのない光景でした。ちょうど雨が降っていて石が濡れているのも絶好の風情でした。
http://www.city.tagajo.miyagi.jp/monosiri/bunkazai/sisitei/mo-bu-si-okinoi.html
明日は宮城県美術館のリニューアルオープンの日です。企画展は「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密」展。これは先日東京は六本木の新美術館で開催されていたものの巡回展です。日本初公開のベラスケス「薔薇色の衣装のマルガリータ王女」が素敵です。この美術館はカンディンスキーの所蔵で知られていて、それは常設展。明日、訪ねる予定にしています。

