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2009.3.15 世田谷美術館の【平泉展】に行きました!

Ran0379  昨日から開催されている世田谷美術館の【平泉展】に行きました。

 この展覧会では、中尊寺金色堂の西北壇(中央に向かって右の壇)が堂内の配置そのままに東京に移動して拝観できるというもの。素晴らしいとは思いつつ、では、今中尊寺を訪ねたら・・・とは思わざるを得ませんでした。

 ただ、やはり近代的な空間で、歴史の重みといった付属物なく、素直に中尊寺のままに配置されている11体のほとけさまに接しられるというのは綺麗で、ずーんと響くものがあって素敵でした。ほとけさま方の可愛らしいこと!! それに精緻です。

 この精緻というのが平泉文化の神髄ですね。金色堂そのものもそうですが、紺色の紙に金と銀の文字で交互に描かれた装飾経。その見返しの絵の精緻さ・・・。これは清衡のものだそうですが、時代がくだって金だけで書かれた秀衡の装飾経になると、同じように見えて線が太く繊細さがなくなっています。でも、繊細さには変わりありません。

 中尊寺の紺紙金泥経というものには何回か展覧会で拝していますが、金銀のものと金だけのものがあるのははじめて知りました。今までどちらを拝していたのでしょう・・・。有名な中尊寺の装飾経。でも、いろいろな展覧会で観る機会があるといっても、他の出展物に混じってほんの1巻の部分です。それが金銀のものも金だけのものも、ずらっと長~く、ゆっくりと拝観できて、装飾経ファン(?)の私は心広々と拝観させていただきました。

 どちらのだったか覚えていませんが、『狭衣物語』の作者に通じる資料になる仮名文字の反古紙を紺に染めて使っていたとわかる部分があって、国文学の世界で貴重とされているそうです。ということは、奥州藤原氏は都と密接につながって文化を吸収していた・・・ということになるそうです。

 ただ、やはり、都と違うのは、精神の素朴さ、素朴な美しさですね。装飾経の見返しの絵もほれぼれするしかない繊細さなのに「力を誇る」といったような張り出してくるものをまったく感じない。かえって、見るほどに見返しの絵が退いていって、それに伴ってこちらの心も引き出されていくといった感じです。

 それは絵の素材にもあって、刀の鞘だったと思いますが、題材が「蜂と薄」。華やかな絵に見慣れていた私達としては、? と一瞬戸惑いました。何だか不思議な違和感です。「これって、蜂?」と、思わず声を洩らしたほどでした。そうしたら、内覧会でしたので、式典にいらしていた中尊寺の僧侶の方がそれを聞かれて、「そうなんですよ。これは・・・」と、いきなり後ろから声をかけられて驚きました。

 有り難く拝聴したその方の説明によると、ふつうの権力者が権威を誇る絵柄にするところを藤原氏は窓から見える自然の景色をさりげなく描いている・・・、これを松本清張さんが凄い感動をされて・・・といったようなお話でした。松本清張さんも同じように観られたのですね。

 中尊寺について書き始めたらまたきりがなくなりますのでここで止めますが、素敵な空間の展覧会でした。

 写真は世界のラン展から。

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