2009.12.27 万葉学者仙覚ゆかりの地・・・、比企一族が眠る鎌倉妙本寺に行ってきました!!
源光行が下向して子息親行とともに鎌倉で『河内本源氏物語』を成し、それを金沢文庫創設者の北条実時が書写してできたのが重要文化財『尾州家河内本源氏物語』です。
その『尾州家河内本源氏物語』と全く同じ装丁の万葉集があります。それが『西本願寺本万葉集』です。そしてこの『西本願寺本万葉集』こそが現代私たちが活字で読んでいるその万葉集なのです。その『西本願寺本万葉集』を成したのは仙覚という人物で、それも鎌倉で成立。中世鎌倉に於いては源氏物語のみならず、万葉集まで第一級の文化遺産が成されているんです。これはあまり語られませんが、凄いことと思いません? 私などはどうしてこれがそう問題にならないのか不思議で、それを訴えたくて一人奮戦しているところがあります。
その『西本願寺本万葉集』の奥書に、仙覚は「鎌倉比企ヶ谷の新釈迦堂にて」と記しています。その比企ヶ谷新釈迦堂があったのが、今の妙本寺境内です。比企能員の娘の若狭局が鎌倉は第二代将軍頼家の側室となり一幡という男児を産んだことから、比企氏は北条氏に代わる勢力を持ちそうになります。それを危んだ北条氏によって比企氏は滅ぼされてしまいます。たった一日の奇襲でそれは成されました。その比企能員の邸宅のあったのがここ妙本寺なのです。
こういう比企氏ゆかりの地で万葉集の研鑽に励んだ仙覚という万葉学者も、おそらく比企氏の出だろうといわれています。まだそれが誰か特定されていません。で、私は目下、北条実時の業績の『尾州家河内本源氏物語』の関連で『西本願寺本万葉集』について調べていて、仙覚についても調べています。つい最近ほぼそれが誰か、推測がついた段階です。それで、比企氏の地が仙覚と本当にゆかりのあることがわかりましたので、妙本寺を訪ねてきました。細かいことはおいおいまたこのブログでお話させていただくこととして、今日は写真のご紹介をさせていただきます。
妙本寺は鎌倉駅から歩いて10分ほどです。写真の一枚目は総門にかかっていた額。二枚目はその総門のところにある比企能員邸跡の碑です。三枚目は比企一族の墓。近くには幼くして一緒に滅んだ頼家の嫡子一幡の墓もありました。
四枚目から仙覚の関連になります。四枚目は万葉学者仙覚の碑。竹御所の墓の下にありました。竹御所の墓は写真の左側に見えている階段をのぼった奥にあり、五枚目の写真がそうです。階段を昇りきって開けた場所は現代の墓地になっていて、その墓地の一番奥まったところに竹御所の墓はありました。写真では下の方の一番中央に写っています。
私がここを訪ねた最大の目的は、この竹御所のある空き地(現代の墓地)の広さがどれくらいかということを見るためでした。というのも、竹御所の墓の上に新釈迦堂が造られ、そこで仙覚が万葉研究をしたというのですから。妙本寺は日蓮宗の寺院ですが、最初にあった新釈迦堂は天台宗寺院だったようです。仙覚も天台宗の僧侶といわれます。その新釈迦堂がどれくらいの規模の寺院だったか・・・、発掘調査がされていませんのでわかっていません。文献だけではようすがつかめないので、原稿にとりかかる前に一度場所を訪ねて実感して来ようと思って出かけました。
竹御所も頼家の子です。比企氏が滅んだまさにその年の生まれで、母親が誰かは明確にはわかっていません。ただ、一族が滅んだあと、その地に住んで「竹御所」と呼ばれたほどですから、比企氏の家系・・・ということは、母は一幡と同じ若狭局・・・と推察されています。
その竹御所の菩提を弔うようにして仙覚がここに住した・・・、ということは、仙覚もまた比企氏のゆかり・・・と、このあたりの明確な解明を今急いでいるところです。うろ覚えの曖昧な書き方になってしまっていますが、取り急ぎのご報告ということで許してください。竹御所の墓の次の写真は、階段をおりて戻る途中の脇に見えた竹の一むら。竹御所の名前の由来にも関係する竹でしょうか。
その下の写真は階段の下に戻ってきての、仙覚の碑がある一帯のようすです。碑の背後の山の中に竹御所の墓があり、かつてそこに新釈迦堂があったのです。仙覚は竹御所とほぼ同年です。どういう関係の二人だったのでしょう・・・。竹御所は実朝が暗殺されたために第四代将軍となって下向した頼経と結婚します。出産で若くして命を落としますが、その頼経の命を受けて、仙覚は竹御所を弔うために造られた新釈迦堂で万葉集の研究をしました。
最後の写真は、若狭局ゆかりの蛇苦止明神です。一族とともに滅びた若狭局。文章で読んでいるだけのときには表面的にしか感じられなかった若狭局の悲劇が、お堂を前にしたら一気に肉薄して辛くなりました。でも、最初は翳っていたのに撮っていると背後から陽が射してきてお堂が華やいだ感じに明るくなったのに救われました。
たぶんこれが今年最後の更新になると思います。来年はどんなご報告ができるでしょう。楽しみです。一年間どうもありがとうございました。そして来年もよろしくお願いいたします。どうぞ佳いお年をお迎えください。
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