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2010.3.31 四月からNHKラジオで、真鍋俊照先生の【四国遍路を考える】がはじまります!

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 もう三月も最後なんですね。このことを三月尽っていうんですよね。以前、金沢文庫の図書室でみていた古い写本の奥書にあって、知りました。乗一という僧侶の書写した図像集でしたが、称名寺の一室で一心不乱に書写し続けて、書きあげてふと見上げた目に映ったのが、三月も終わろうとして季節が春めいた苑池の光景・・・、風に柳がなびいて桜の花びらが舞い・・・といった感じのとても綺麗な文章でした。で、三月尽というと、そのときの僧侶の思いでもって称名寺の光景が浮かぶんです。

 真鍋俊照先生は金沢文庫の文庫長をしてらした方ですが、今は四国の第四番札所大日寺のご住職をされています。私はカルチャーセンターで密教の講座を拝聴して、それがご縁で金沢文庫に通うようになりました。

 話すと長くなるのですが、小説作法をカルチャーで学んでいたとき、講師の平岡篤頼先生が森敦さんの『意味の変容』というご本を紹介してくださったのです。それがふしぎなご著作で、あえていうと、数式で書いた小説・・・みたいなもの。平岡先生は凡人の私たちには理解できないと思われて、あらかじめ真ん中に円をくり抜いた白紙を用意してらして、その紙を頭上にかかげながら、「この円の円周は白紙の側にあるわけでなく、かといって切りぬかれた円に属するものでもない・・・」みたいな、とうてい理解不能なことを一生懸命伝えようとしてくださいました(笑)

 難しかったのですが、でも興味を惹かれて『意味の変容』を必死で読み、それから井筒俊彦先生の神秘主義にいって、だんだん密教に近づいたとき、真鍋先生のNHKカルチャーでの「空海の哲学」という講座がはじまりました。その講座に目をとめたのは、森敦先生が真鍋先生のことを『マンダラ紀行』に書いてらしたからです。とてもいいお話をされる方と印象に残っていました。

 「空海の哲学」は、密教を学ぶにあたってこれほどコンパクトに充実された内容はないといった感じのお講義でしたが、半年で終わりました。受講者が残念がって継続を望んだのですが、先生は頑として聞き入れてくださいませんでした。なぜなら、密教は「学んで理解するもの」ではなく、「みずから体験して悟るもの」だからでした。徹底して頭で理解することを忌避します。このあたり、歴史上でも大変な事件があって、空海と最澄の疎遠はここからはじまっているんですよね。

 そのために「空海の哲学」という素敵なお話の講座は、写仏という「体験」の講座に変わり、先生を慕う受講者は全員しぶしぶ面相筆という慣れない絵筆をとって、線描のほとけさまを一体、一体、描いていく修練に移行したのです。

 写仏は数年通いました。そのときの写仏で描いたほとけさまの原本のようなものが、冒頭に書いた乗一も書写した図像集です。(曖昧な名称の書き方で済みません。調べればわかるのですが・・・)

 真鍋俊照先生のラジオ放送が四月からはじまりますので、ご案内させていただきます。ラジオ第2放送、NHKシリーズ「こころをよむ」の時間帯で、4月から6月にかけての13回の放送です。放送日は日曜日:午前6:45~7:25。再放送は翌週日曜日:午後1:20~2:00です。テキストはすでに発売されていて、初回は4月4日午前6:45からです。

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