2010.12.27 ドナルド・キーン先生と真鍋俊照先生のご対談「日本文学をめぐって」・・・徳島新聞12月9日・10日掲載の記事を入手しましたのでご紹介させていただきます
11月に徳島の四国大学で講演をされるために四国を訪れられたドナルド・キーン先生が、徳島市内で真鍋俊照先生と対談され、その記事が12月9日と10日の二回にわたって徳島新聞に掲載されました。真鍋俊照先生は金沢文庫長を勤められたあと四国にわたられ、四国大学の教授をされています。
お二人のご親交はとても長く、真鍋先生が金沢文庫にいらしたときも、お二人は鎌倉の浄智寺で、日本文学に関する奥の深いご対談をされています。そのときは『徒然草』についてがテーマでした。真鍋先生の『密教マンダラと文学・絵解き』(法蔵館)に収められていますから、興味のある方は是非ご覧になってください。
日本文化の基礎、日本人としての感性のありようなど、私としては日本人すべての方が読むといいと訴えたいくらいに傾倒した奥の深い素敵な対談でした。各章のタイトルを載せさせていただきますね。
出会いから英訳まで
暗示と余情の世界
もののあはれの美学
命長ければ辱多し
日本人の住居観
滅びやすさを愛した兼好
と、この記憶がありましたので、徳島でのご対談にとても関心をもっていました。記事を入手できて、早速拝読。新聞なので要約気味なのが悔しいのですが、やはり感動しました。テーマとしては、日記文学・近松の庶民文学・足利義政による日本文化の原点・日本語・三島由紀夫・・・と以上です。それぞれをご紹介すると長くなってしまいますので、ひとつだけにします。で、目下私は『源氏物語』にかかわっていますので、『源氏物語』に触れた部分を・・・
キーン 日本文化は、ものを書くだけでなく、美しく書くことを大事にしている。手紙を書くと き、紙を選び、墨の濃淡を考え、和歌を添え、素晴らしい字で書き、紙を美しく折って、季節の花を添える。ヨーロッパでは内容だけが大切。
真鍋 先生の考え方がわかってきた。文学とは単なる文字表現ではなく、儀式的な面もあり、季節の感じ方や声に出して読むことなど五感を使った体験であり、表現である。そういう意識が日本人の心で育まれてきたことが、日本文学の本質であり原点であるということですか?
キーン そうです。戦争の影が忍び寄るころ、どこかに逃避したい気持ちで初めて読んだ源氏物語は、理想的な美しい世界だった・・・
■写真は、2003年に密教図像学会の大会が関東で行われ、その現地見学会で訪れた調布市深大寺にて撮影。高野山真言宗管長でいられる松長宥慶様もいらして、お昼におそばをご一緒させていただいたとても貴重な思い出深い一日でした。その日のコースは調布市深大寺→立川市普済寺→日野市高幡不動で、私にはすべて馴染みの、地元といっていい寺院ばかり。なのに高僧といった方々とバスで巡るなどして不可思議な感覚でした(*^-^)。