2014.7.27 ツイッターより転載…『北条時頼と源氏物語』執筆開始しました。第一章は「六波羅で時頼誕生」。PDFで公開。
7月22日
阿仏尼がそうだし、仙覚はもっとそうだったし、松下禅尼とか無住など出家後の名前で知られている人は事実を知らないとほんとうにただただ地味な質素な人に思ってしまう。出家する前にどんな華やかな過去があったかなど思いが至らない。既成観念を打開するところから私の原稿はいつも始まります。
既成観念もそうですが、学問の場での古い定着もそうですね。河内本をはじめた源光行は地下の役人風情であんな業績を残せるはずがないなどと言われた時期もあったくらい。だけど光行は諸大夫の身分で鎌倉に下向しても後白河宮廷と繋がっていたのがわかってきた。既成観念の打破は学問にも必要。
ちなみにピンとこない方もいられると思いますので。『徒然草』で倹約質素を勧める障子貼りで有名な段に登場する松下禅尼が北条時頼のお母さんです。
六波羅探題というと鎌倉幕府の中枢から離れるから左遷のような印象があるし、事実そうで早く帰りたがった人もいるけど、探題経験者と鎌倉にしかいた事ない武士たちとではその後の人間が決定的に違う。文化の深さを知っている人物と知らないで権力だけが優位と思っている人とでは違うものがあります。
北条時頼はお父さんの時氏が六波羅探題在任中に京都で生まれました。四歳まで京都育ち。この事は私が知らなかっただけというよりたぶんあまり知られていない。時頼の素養には京都の雅が既にあって、だから宗尊親王にも自然に仕える事ができたのでしょう。武骨な武士が仕えたのではないのです。
7月23日
恒例になりそうな早朝のツイ。考えてみれば当たり前なのだけれどこうやって時頼に絞って年譜を作らなければ気がつかなかった。人生はというより歴史はほんとうに重層的。義時が亡くなって六波羅探題にいた泰時が鎌倉に帰ってくる。代わりに時氏が六波羅探題に上洛しそれで京都で時頼が生まれる事に。
義時が亡くなった時、後妻の伊賀氏が自分の子の政村を執権につけ、娘婿の一条実雅を将軍にと企てて失脚する伊賀氏の変が起きる。実雅は朝廷に委ねられて上洛。その時河内本の源親行が従って上洛。おそらくその京都で定家と会い、定家は親行から鎌倉での河内本の話を聞いて発奮し青表紙本の制作に
とりかかり翌年二月に完成。実雅に付いて一緒に上洛した伊賀氏の弟達を鎮西に配流すべく身柄を預かったのが、六波羅探題に就任して上洛間もない時氏でした。このあたりで時頼の兄の四代執権経時が誕生。と、このあたりから書きはじめようかななどと考えています。
早朝の連ツイの続き。六波羅はかつて平清盛たち平家の方々の邸宅があった地。平家は都落ちに際し火を放って去ったという。そこを鎌倉幕府が継いで、頼朝上洛の時もここに宿舎が建てられた。承久の乱後六波羅探題が設置され、初代探題が乱で上洛していた泰時がそのまま留まって就任。時氏の父です。
鎌倉の源氏物語たる河内本を作る源光行は平家に仕えていておそらく六波羅に屋敷があった。平家の滅亡後光行は鎌倉に下向して鎌倉で源氏物語の校訂にとりかかる。下向のきっかけは頼朝の上洛だった。いわば六波羅は光行の原点の地。そこで時頼が生まれる事になるなんてと、これは奇しくもの運命。
最初の書きだしの文章ができたかも。土地はかつての栄耀栄華を記憶していて、時代を経て正しく受け継いでくれる人物が現れると気配となってその人に乗り移ります…。具象が抽象の言葉になったとき、あ、はじめられると、ほっとします。『北条時頼と源氏物語』、執筆開始かも。
7月24日
さっきから凄い雷雲の雷鳴と豪雨。どうもピンポイントでこのあたり上空に雲があるよう。一瞬停電しましたが、すぐ点きました@三鷹市 雷鳴が凄まじいです。
7月25日
今日は平家の都落ちの日だったんですね。火を放って灰塵に帰した跡地に六波羅探題が置かれ、時頼の父の時氏が赴任し、それで時頼が六波羅で生まれて四歳まで過ごした、というところを原稿に書いたばかり。奇しくも時頼は河内本の光行さんと同じ場所で生まれ育ったんだなあと驚いたばかり。因縁としか。
7月26日
今日は鎌倉。夜までです。せっかくだから早めに出て一仕事をと思っていたのにこの暑さでは無理。早々に諦めてのんびり仕度してたら今度はぎりぎり。原稿にかかってしまったから他の事はどうでもよくなって今はじっくり原稿に浸りたい。第二章は「松下禅尼は国母」。時頼のお母さんの話です。
鎌倉の帰りです。今日は湿気が強いからか、駅のホームに立っていると海の匂い。こんなところで潮風を感じたのは初めてです。
鎌倉で。まだ明るいからどこかに寄りたいと名残惜しい気持ちを抑えて撮った一枚です。この道を行った先に鎌倉時代に栄えた佐々目遺身院という寺院がありました。今は地元の人も知らない幻の廃寺です。
7月27日
綺麗な後光!@三鷹市
今日は新月なのですね。カレンダーにメモしていながら気づかず過ごすところでした。物事のはじまりの日。大切にします。ここのところ時頼に没頭しているから心がしんと鎮まって世の中の事があまり入ってきません。
『北条時頼と源氏物語』をPDFにしました。第一章「六波羅で時頼誕生」です。
http://twitdoc.com/35O7