2017.2.27 ツイッターから転載…「写本が語る、鎌倉の『源氏物語』と『万葉集』享受の歴史」、ほぼ完成しました。
井の頭公園の梅林です。
2月22日
おはようございます。昨日は実時の漢籍について深入りしたくなる気持ちをぐっとこらえて「写本が語る、」の原稿に戻りました。仙覚が登場して、竹御所も書いていたら気分がすっかりこちらの世界に入っていい気分。このまま小説に入りたいくらいです。久々に薔薇の名前的気分。
以前キラリナのエスカレーターで流れていた音楽がゴーンという沈み込むような包まれるような、あ、地球の音、と思ってまた聴きたいと探したのだけれどわからず、あれがヒーリング系の音楽と今頃になってわかって聴いているのですが、深い瞑想に入っていくような気分。怖いくらいに何か治癒されてます。
地球の音というのは、チリでM9の地震があった時、地球の反対側の日本に地中を伝ってゴーンという音が届いたというのを読んで以来、地中深く走るゴーンという音に神秘なものを感じて惹かれているんです。ひれ伏して地中の音に耳を傾けたい気分。
「写本が語る、」の原稿。宗尊親王の時代の源氏物語と万葉集のドッキングまでと思ってたから玄覚は書かないと決めてたけど、比企谷で仙覚の本を書写してるのだから、写本が語るテーマでは書かなくてはと気付きました。構成を少し変更。
2月23日
おはようございます。「写本が語る、」の原稿、やっと求心的になってきました。理で考えて構成したものはやはり表層でしかないことが書いてみてはじめてわかる。書くと自ずと行間から、ここが足りない、ここを埋めろ、と声が湧き上がってきます。
いい加減に書くではないけれど、この枚数なら簡単とたてた構成も書き始めて深まると、あら、足りないかもとなって、これを書く予定はなかったというのが次々湧いて出る。面白くなってきました。
大詰かも。このまま続けたら多分終わる。でも家事に戻って団欒までしたらいつものように疲れが出て仮寝。のパターンでしょう。そして未明に起きて、書いて、完成。となればいいのですが。笑
大詰を迎えているから疲れているのに少しも眠くなく、休んだほうがいいのに横になっても眠れません。笑。私がしたいことって何だろうって余分なことまで考えて、結局私はストイックな学問的な男の世界が好きなんだなあと。ストイックといっても姿勢の話で、急にプルーストが読みたくなってきました。
仙覚を考えていてプルーストが浮かんだのは初めて。仙覚の学究的な長い人生が急にプルーストの失われた時を求めての長い創作人生と重なって感じられて。そしてどこの章だったか主人公が石畳の夜の街を奥に入っていくその街角が心に浮かんでそれが仙覚の姿と重なって。奥に入っていく感覚、凄い。
2月24日
おはようございます。「写本が語る、」の原稿。尾州家本と西本願寺本で終わりにしようか、仙覚は誰かの問題解決で閉じようか迷っています。両写本の成立で終わると玄覚が入って来られなくなります。入れたい気持ちが強いです。
「写本が語る、」の原稿。最後の件。どんどん玄覚で終わらそうという気持ちが強くなってきています。学会で発表したら論文にまとめなくてはならないのですがその締切が5月。今年はパスしてというより、論文でなく小説にする事にしたから、今頂いたこの原稿が公の発表の場として貴重だと気づきました。
『万葉集註釈』の写本が仙覚は誰かを教えてくれている…、で締めました。「写本が語る、」の原稿。まさに写本が語ってくれているんだなあと一入。玄覚を入れたらこうなりました。一応、完了しました。
昨夜は原稿が一段落しそうなのでプルーストに浸って就寝しました。モーブ色は失われたではじめて知った言葉の色だから実際には知らないのですがたぶんと推測してプルーストを象徴する色になっています。昨夜見たモーブ色のルビがふられた薄紫色の文字。以前読んだ本ではどうだったかな?となりました。
紫の上は樺桜色だから薄紫ではないし、若紫も薄紫のイメージではない。藤壺が藤の色で薄紫かな。はじめて読んだ失われたでモーブ色に惹かれたのにはたしかに源氏物語を感じてのこと。私のなかでどこかプルーストと源氏物語が響き合っています。
2月25日
おはようございます。仮寝して起きて原稿のチェックをしていました。写本が語る、我ながら凄いと思います。尾州家本で宗尊親王を語って、続けて仙覚の小川町での万葉集注釈を書いたら、小川町にある古墳に宗尊親王の名が刻まれていた事実が思い出され、私はこの解明をしたいのだったと思い出しました。
いずれ仙覚の小説の晩年になったら否が応でも取りかからなければならないから先のこととして放置してました。小川町の古墳の宗尊親王の名前の件は新編武蔵野風土記稿にあります。小川町といえば仙覚。宗尊親王といっても仙覚。きっと何か繋がりがあるはずなのですが、まだ繋ぐ糸が見えてません。
つくづく運ばれていると思う。「写本が語る、」の原稿は3,4年前にお話を頂いた。鎌倉の源氏物語をテーマにと。それが諸事情で延びて昨年末に正式の依頼になった。最初のまま実現していたら『源氏物語と鎌倉』をなぞるだけでした。昨年だったら仙覚を入れられなかった。今だからこそ書けた原稿です。