4月3日
今日はまだコラムの最終回の時のようなノリには来ていないけれど、玄覚に滋子さんを語らせていたら仙覚さんの声が降りてきて、後白河院にとって滋子さんは母待賢門院璋子なのだと。生まれた時から孤児の仙覚さんの語る母像……。まさか仙覚さんの内なる母への思慕に滋子さんが関与するとは。
仙覚さんの母は基子さんですが、作中一回だけ二人を会わす予定。でも、基子さんは我が子と知って会うけれど、仙覚さんは気がつかない。後年、成長した玄覚を見て、この顔に似た女性にあったことがあると気づく。それほど母を知らない仙覚さん、ということを声が降りてきて私自身がやっと気づきました。
4月4日
いい映画でした。空海。六本木ヒルズの中国語版で観てきました。終始切なくて目尻に涙が滲みそうに。原作では点描だった楊貴妃がきちんと主役になっていたから? 監督はさすが原作の王道テーマを引き出してますね。何より復元された長安が凄くてまだ観足りない気分。日本語版も観ようかなんて考慮中。
映画空海。観た方のツイートを拝見すると猫話題か空海話題。私が感じたのは、これは白楽天の長恨歌ができるまでですね。こんなに長恨歌が鍵になっている映画なんて、さすが中国! と思ってしまいました。なのに白楽天の詩は朗読されず、されたのは李白の詩。なんかこのはぐらかされ感がおかしかった。
今朝カーテンを開けたら満開になった黄色い山吹の輝きが。隣の白山吹も満開に。ひととき庭が輝く季節です。六本木ヒルズに行くのだから毛利庭園を撮ってこようと思っていたのに、山吹を撮ったままその辺に置いてしまったのでカメラを持って出るのを忘れました。でもお蔭で映画の余韻を満喫できました。

(明日吉祥寺の日本語版を観ようと画策中・・・笑)空海の映画、もう十回くらい観たい! シーンがとにかく綺麗だし、いつも読んでいる空海本とか唐詩とか、そういうものの歴史空間をリアルに体験できるわけだし・・・。(私は原作を読んで楊貴妃の墓は土葬のようにイメージしていたら違ったり・・・)
4月5日
昨夜レースのカーテン越しに透けて見える光がいつもの月より小さく、かといって星だとしたら巨大で謎でした。起きて空を見ると煌々とした月の隣に木星。TLで読んで観たいと思っていたので嬉しかったです。今夜なら綺麗に撮れると迷ったのですがそのまま就寝。たぶん今までにない好ショットでした。
一夜明けての映画空海の印象が阿部寛さんの阿倍仲麻呂。楊貴妃を愛する仲麻呂が打ち明けたくても言い出せないでいたのを、楊貴妃があの時なんて言いたかったの? と問う。それでも言い出せないでただみつめるだけの仲麻呂に、楊貴妃が、わかった、目をみていたらと。阿部寛さんの眼差しが最高でした。
そしてそこに誰かのセリフでナレーションのように、「あの時楊貴妃はすでに自分の死を知っていた」と入るのです。死を覚悟しての阿倍仲麻呂への質問。死を前にして人生でほんとうに自分を愛してると言ってくれる言葉を聞きたかったのだと。あの映画、決して猫の映画ではありませんでした笑
長恨歌は源氏物語で桐壺帝と桐壺更衣の愛の象徴として用いられた詩篇。その成立に白楽天が悩み苦しむその過程が映画「空海」です。空海とともに白楽天が楊貴妃の死の謎を解き明かし、それが詩篇の完成に至ると、そういう話ですから、とにかく見ていて切ない映画でした。
空海の映画のエッセンスを一夜明けて自覚したわけですが、この切なさを仙覚の小説に生かします。生かしたい。時房と基子さん、それが書けるといい。
吉祥寺で空海(日本語版)を観てきました。吹替は最初違和感あったけど最後には忘れて映画に没入。やはり阿部寛さんの安倍仲麻呂が登場したところから圧巻。楊貴妃の美しさも昨日より際立って胸が痛くなるほど。気がつくと妖猫の幻術の要素は何も気にならなくなっていました。二回目、観てよかった!
映画を堪能しながら私はずっとそれを自分の作品に置き換えて観ているのですが、いつも思うのだけれど、本筋は人の愛とか想い。それを探究する役割の空海や白楽天のような登場人物はある意味狂言回しになってしまいますね。仙覚をそうはさせたくないと必死です。
日比谷ではパンフレットを売っていなかったので今日ゲット。中国語版の日比谷は今週で、吹替版の吉祥寺は来週、終了のようです。
RTの円山公園のライトアップは3月26日のだけれど、映画空海で楊貴妃が立っていることの象徴としていつもこういう感じの桜の木の下。なにかとても日本的で、そういえば玄宗皇帝が贈ったという楊貴妃の衣装も西陣織のような雰囲気で、時々、あれ、これって中国人の監督さんだったよな・・・となりました。
映画空海も観たしようやく静かな境地で原稿に向かっています。ちょうど書いていたのが後白河院と建春門院滋子さんだったから、映画の玄宗皇帝と楊貴妃が重なり、後白河院の寵愛ぶりが映像で目に浮かぶように。国会図書館に依頼した滋子さんの北面歌合の複写も届きそうだし、これから原稿が充実します。