2020.1.31 ツイッターから転載…日々雑感、ネルヴァル『シルヴィ』の時制に覚醒しました
1月29日
プルーストとエーコと万葉集と東国武士が並ぶ本棚 目下関心の重要書籍を集めた棚です おはようございます 昨夜小説の森散策にインスピレーションを得て過去原稿の種々のバージョンをプリントしたら 2017年まで私は穴蔵生活の専心ができていました その後精神がさまよって方向を失ったのでした
なぜだろうと 2017年当時の専心していた精神世界を振り返ったらこの棚が眼について 初心に帰った思いで撮りました この棚を見るといつも気分がすっくと立ち上がってすがすがしいのですが 今朝は特に
記録を見ると 2017年4月に時房が浮上 そこから父親の時政に関心がいって 名越の浜御所あたりを歩いたのが6月 以降強烈な個性の時政にすっかり引きずられたの感ですね 彷徨は原稿のために必要ではあったけど
小説の森散策によると シルヴィには三人の人間が関わっていると 第一者はペンネームでないネルヴァル本人 第二者は小説のなかで「私」を名乗る人物 第三者は第一章から最終章まで語り続けた匿名の声(モデル作者) お伽話のような単純ストーリーでなく小説としてのプロットを持つ作品という指針を頂いて
過去の種々バージョンで書き溜めた原稿を見比べたら 圧倒的に玄覚さんの独白バージョンがいい それが朝呟いた2017年 そこでは三人の人間がちゃんと存在するし プロットもある 何回読んでも捨てがたい完成度があったのはこれだったのだと納得 あの頃は仙覚さんと万葉集に関して満足いくまで調べ尽くして
それで執筆に入ったのでした その後書くために必要になって時政とかその他諸々 調べるたびに好奇心が膨らんで高揚し とても玄覚さんバージョンを書き始めた時のような静謐さから程遠かった 知識には振り回されますね と自戒を込めて もう少し文学の森散策に浸って精神を深めます 懐かしいですこの深さ
コメントを頂いていてお返事が遅れてすみません。じっと自分のなかに対峙するものがあってそれに耳を澄ませています。ようやく文学の環境にいたときの境地が見出されつつあってそれを確信にまで持って行きたいんです。文学の環境における境地と研究とかエッセイの次元での境地の違いってありですね
メモっていたシルヴィに関わった三人 それをnoteに書き写していて 玄覚さんの独白バージョンの玄覚は三人のうちの誰だろうと思う ①ペンネームでない作者本人 ②作中で「私」を名乗る人物 ③物語を第一章から第三章まで語り通す人物 とすると玄覚は② では③は? と考えて それは書いている中で生じる
小説の森散策はなにもシルヴィだけの解説書でなく ポーの大鴉とかいろいろ取り上げて分析しています でも一々それを読む気力と視力がないのでパラパラとページを繰ったら三分の一程のところで「ここでシルヴィに戻る」と では熟読の再開となったここでひとまず就寝することにしました 明日が楽しみ
1月30日
おはようございます シルヴィに没入してるから眠りが深く今朝は寝坊して起こされて飛び起きました シルヴィはあれほど緻密なのに終わり近くなって あれっ? と落胆します それを小説の森散策でも失敗といっていて やはりと思っていたのですが 昨夜読んだ箇所にそれは作者が書くことがなくなった
からと時制の分析があって そういえば そこに至るまでの時制は過去と現在を行き来する回想 終わりの部分はほぼ現在 つまらなくて当然と納得しました それをプルーストは克服していて プルーストの時制は成功していると そうですよね 最後の終わりで受けた感銘 その余韻が今も影響を凌いでます
写真は過去の @井の頭公園です 梅林の根っこあたり一帯がこんなふうでした 3月の撮影だから今行ってもまだ枯草の原といった感じです 国会中継もコロナ肺炎もひどい世のなかだから現実に目を向けると滅入ります なので今朝は暗い写真にしました
突然覚醒 玄覚さんの独白バージョンはウンベルト・エーコ作成「シルヴィの時制表」に当てはまるんだ〜と 明日コピーして当てはめてみようと思います 仙覚さんが70代後半まで生きて その長い波乱に満ちた歴史をどう書いていくか路頭に迷っていましたが シルヴィの時制表 それに則って書けるんですね
ある時の玄覚さんの回想から始まり 最後は仙覚さんの最後だから年号が決まっている そのように書くと決めていたから シルヴィの最後の突然の1832年という年号の顕現がとてもよくわかる 間をその長い膨大な歴史を順列で書こうとしていたから途方に暮れていたのでした シルヴィの時制表の方法なら
順列で書いていて これは後年の事件の遠因とか布石とか思いつつ進めていたのですが なにしろ歴史が膨大 作者の私がいくら遠因と思っても 読んでいる方がその時点で後年の事件の遠因だなんて気づいて読めるはずがない その冗漫さを克服したい その一心で模索していました