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2022.12.30 『華鏡 紫文幻想』が完成して、今年はようやく仙覚の小説が動き出した良い年になりました


今年も残すところ一日になりました。更新が滞りがちで申し訳なかったのですが、そのあいだ原稿に専心してようやく仙覚の小説が動き出しました。

ここ数年、仙覚の小説を書こう書こうとして書けない年が続きましたが、今年ようやく原稿が動き出して『華鏡 紫文幻想』が完成しました。これは仙覚の小説の前編として書いたもので平安時代編。仙覚の万葉集研究の発端としての村上天皇の命による梨壺の五人が主軸です。

後編が仙覚が生きた時代の鎌倉時代編になります。これをつい先日まで仙覚の小説の後編として『華鏡 万葉幻想』とする予定でした。が、実際に原稿を書き始めたらこの前編・後編の構成を止めて、『華鏡 紫文幻想』はこれで完成とし、『華鏡 万葉幻想』は『華鏡』だけのタイトルにして、これを仙覚の小説としたくなりました。

目下、その『華鏡』第一章「南庭の白菊」が書き終わったところで、比企の乱で仙覚が生まれたところまで書きました。

 

第二章は新年に入ってからとりかかりますが、源実朝がメインになります。実朝には藤原定家から贈られた『万葉集』があります。これが実朝の暗殺後、次の将軍頼経の所持となり、その頼経の命で仙覚が『万葉集』の校訂をしたときに、頼経から貸し与えられて、仙覚の研究の一端を担うのです。ここでそれを書いて、『西本願寺本万葉集』につながる宗尊親王の時代への布石にします。

 

来年は、今までのような停滞はなく、原稿はスムーズに進むと思います。そう願って、今年最後のご報告とさせていただきます。

来年もよろしくお願いいたします。

 

【今年は四冊のkindle出版をいたしました】

『華鏡 紫文幻想』(仙覚の小説の前編)

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『白拍子の風』(小説)

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『『尾州家河内本源氏物語』と『西本願寺本万葉集』の研究』(学会で研究発表した時の資料集)

『尾州家河内本源氏物語』と『西本願寺本万葉集』の研究: 解釈学会全国大会研究発表資料集 | 織田百合子 | 小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

『京・鎌倉の文化交流』(論文集)

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2022.12.24 kindle出版『華鏡 紫文幻想』のご紹介

2022年12月24日

『華鏡 紫文幻想』

Amazonの内容紹介:

『源氏物語』は藤原北家の道長の下で書かれましたが、藤原北家は大化改新を起こした中臣鎌足が祖の「討って奪う」血脈が累々と続いた家系です。それが藤原北家の他氏排斥事件と呼ばれる政変を起こしました。

『万葉集』をはじめ、『伊勢物語』や『古今和歌集』など古典は排斥された側の人たちによって作られました。人生の苦しみ、哀しみをみつめ、心を深めていった人たちの結実が古典なのです。『華鏡』はそういった人間関係からたどる国文学史です。

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【目次】

第一章 藤原北家・小野宮流藤原実頼まで

一.大伴旅人の大宰府赴任 ―紀貫之『古今和歌集』仮名序

二.歌の聖・柿本人麻呂 ―平城天皇『万葉集』………………【大化改新】

三.河陽の離宮 ―嵯峨天皇『文華秀麗集』

四.二条后高子 ―在原業平と『伊勢物語』……………………【承和の変】

五.陽成天皇の廃位 ―藤原時平『日本三代実録』

六.寛平の歌合 ―宇多天皇『新撰万葉集』…………………【阿衡の紛議】

七.藤原定方の娘 ―白居易「長恨歌」

八.太液の芙蓉 ―紫式部『源氏物語』桐壺巻

九.菅原道真の大宰府左遷 ―宇多天皇「寛平御遺誡」………【昌泰の変】

十.堤中納言・藤原兼輔 ―醍醐天皇『古今和歌集』

第二章 藤原北家・九条流藤原師輔以後

一.内親王の密通 ―紫式部『源氏物語』若紫巻

二.嵯峨の山荘 ―紫式部『源氏物語』松風巻

三.琴の音 ―村上天皇女御徽子女王『斎宮女御集』

四.斎宮の花園 ―紫式部『源氏物語』竹河巻

五.華の後宮 ―村上天皇『後撰和歌集』と梨壺の五人

六.後宮の歌合 ―村上天皇「天徳内裏歌合」

七.村上天皇崩御 ―紫式部『源氏物語』幻巻

八.源高明の大宰府左遷 ―紫式部『源氏物語』須磨巻………【安和の変】

九.後中書王・具平親王 ―藤原公任『和漢朗詠集』…………【寛和の変】

十.雪の越前 ―紫式部『源氏物語』夕顔巻

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2022.12.23 『歴史研究』第706号(2022.12月号)に「内親王の密通」を載せて頂きました

『歴史研究』第706号(2022.12月号)に「内親王の密通」という短い文章を載せていただきました。

鎌倉の万葉学者・仙覚の小説の前編『華鏡 紫文幻想』は、『万葉集』研究の最初として平安時代の村上天皇の命で万葉仮名の訓点作業をした梨壺の五人をメインに書きました。

梨壺の五人の一人に源順がいます。その源順を調べていたら『和名類聚楽抄』という日本で最初の辞書を作った人とあり、『和名類聚楽抄』を調べたら醍醐天皇の第四皇女勤子内親王が命じて作らせたとあります。

それで勤子内親王を調べたら、なんと、この方が村上天皇の朝廷で右大臣だった藤原師輔と密通・結婚しているのです。

そんなことから、え?、え?、え?、となって芋づる式に調べていって出した結論が、紫式部が『源氏物語』を書いた時、勤子内親王が藤壺のモデルではないかということでした。藤壺は言わずと知れた光源氏と密通した内親王です。そして、勤子内親王も藤壺も第四皇女なのです。

詳しいことは煩瑣になりますのでここでは書けませんが、面白い論が書けたと思っています。

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2022.12.21 仙覚さんの小説は前編の平安時代編『華鏡 紫文幻想』が完成しました

大変にご無沙汰になりました。ずっと籠って書いていました。仙覚さんの小説ですが、ここにきてやっと構成が整い、前編が平安時代編『華鏡 紫文幻想』、後編が仙覚さんが生きた時代の鎌倉時代編『華鏡 万葉幻想』になりました。そして、前編が完成しています。

以下、総括した文章をFacebookページ【仙覚取材ノート】と【光藝社写真部】に載せましたのでこちらにも。

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2022年12月21日

源氏物語千年紀の2008年、京都では古典の日が制定され、記念の祝典が催されました。私はすでに鎌倉時代に武士たちが『源氏物語』を愛好していたことを研究していましたので、鎌倉でもシンポジウムか何か記念式典があるはずと思って楽しみにしていました。けれど、いつまで待ってもそういう情報が入ってきません。鎌倉ではまだ『源氏物語』が受容されていたことが一般認識になっていなかったのでした。それで急遽、私は鎌倉の源氏物語文化の普及に努める活動に入りました。十年ほど携わりました。

 

コロナのパンデミックで自粛生活に入って三年が経ち、気持ちも落ち着いて自分の時間を取り戻した時、私にはし残してきた仕事があることに気づいたのです。突然鎌倉の活動に入ってしまったものですから、それまで書いていた原稿が書籍化されることなく放置したままになっていました。

 

私は今、鎌倉の万葉学者仙覚の長編小説に取り組んでいます。その前編となる平安時代編『華鏡 紫文幻想』が終わり、次に後編の鎌倉時代編『華鏡 万葉幻想』に取りかかろうとしています。が、取りかかったら大変な時間と労力を要しますからまた原稿は放置したままになってしまいます。それで急遽決意して、原稿を電子書籍としてkindle出版しておくことにしました。

 

9月に学会で研究発表した時の資料集『『尾州家河内本源氏物語』と『西本願寺本万葉集』の研究』を、10月に『華鏡 紫文幻想』を、11月に時代小説『白拍子の風』を、12月に論文集『京・鎌倉の文化交流』をkindle出版しました。Amazonで販売されています。

 

写真はそのAmazonの販売ページにある著者ページです。

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画像の添付がどういうわけかできないので、著者ページですが、Amazonで販売されている本の書影の下にある織田百合子というところをクリックすると出てきます。

これからまた籠って後編『華鏡 万葉幻想』に籠ります。

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