2023年2月14日 もう2月も半ばになってしまいましたが、今年最初の投稿です。滞っていてすみませんでした。
昨年最後の投稿を今読んだら、新年から仙覚さんの小説にかかると書いていました。そのつもりだったのですが、どういうことからだったか覚えていないのですが、過去原稿の『寺院揺曳 ―まぼろしの廃寺・鎌倉佐々目遺身院ー』を先にkindle出版しておこうと思ってその推敲をしています。もうできている原稿だから1月中には出版できるくらいの軽い気持ちで始めたのにまだ終わりません。やっと近々刊行へのアップロードができるかな、というところにきました。気持ちが軽くなってきました。
その間ですが、Twitterでいろいろな方の情報を得てズームでいろいろなことを学ばせて頂いたり考えること多く、振り返ってみるとそれは今後書いていく上で重要なことなので、Twitterでその都度呟いたことをここに転載しておこうという気持ちになりました。逐次、転載してゆきますね。
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2023年1月6日
あけましておめでとうございます。今年最初の投稿は、昨年暮れにkindle出版した小説『白拍子の風』を紹介させていただきます。
京浜急行金沢八景駅から歩いて数分の高台に上行寺東遺跡という中世墳墓群の遺跡がありました。マンションの建築で発見されたのですが、貴重な遺跡を残してほしいという歴史学者さんたちの保存運動にもかかわらず、横浜市は遺跡を破壊し、マンションを建てました。
その遺跡には岩盤を彫った阿弥陀如来坐像があり、春分の日と秋分の日の年二回、太陽がその頭上から一直線に沈みます。阿弥陀様の背後には遠く朝比奈峠のある山が見えます。その向こうが鎌倉です。V字形に切り通された朝比奈切通も見えました。遺跡の保存は叶いませんでしたが、市はその阿弥陀様の一画を樹脂で固めたレプリカとして残しました。
私が遺跡発掘の仕事に従事していたときにはすでにそのレプリカでしか上行寺東遺跡を見ることができませんでしたが、でも、それでもその遺跡が好きで、一人でよく訪れました。
ある日、いつものように訪ねて、高い階段を上って遺跡の端に立った時、さっと一陣の風が吹いて煽られました。その時、采女の袖ふきかへす明日香風都を遠みいたづらに吹くの志貴皇子の歌が浮かび、すぐに続いて白拍子の風のタイトルが浮かんで、突然構成ができたのでした。