2023年2月14日 Twitterより転載…ズームで澤田直氏「イメージと哲学 20世紀フランス思想の映像論」を拝聴しました
私はものを書いていますが、私の原点は写真です。随分長くそれを忘れていました。そのあいだに鎌倉の『源氏物語』の活動をしたりして、とにかく私自身のよって立つ基盤を見失っていました。
たまたまTwitterで岩野卓司先生ご主導のズームでイメージ論を学ぶ機会を頂き、なにか気になって澤田直氏の「イメージと哲学 20世紀フランス思想の映像論」四回連続講座を拝聴しました。その最後がロラン・バルトの『明るい部屋』でした。
写真は存在を示すものではない そこにかつてあったことを意識するもの・・・
私は写真が好きです。Twitterでパリの古い写真を流して下さる方がいて、それを見ていると、ああ、この人たちはこの時こんなふうに生活して生きていたんだ・・・、の思いにとらわれます。
この『明るい部屋』のお講義を拝聴して思い出した写真がありました。それが、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「決定的瞬間」です。写真の道に進んで最初に習った写真の歴史の中で知った一枚。舗道ですれ違う何人かの人をただ俯瞰で写しただけの写真ですが、見知らぬ人たちがその一瞬すれ違ったという歴史的一瞬がそこにあるのです。
以前書いていた『寺院揺曳 ―まぼろしの廃寺・鎌倉佐々目遺身院』の原稿にその「決定的瞬間」を詳説した文章があります。新年になったら仙覚さんの小説『華鏡』にとりかかろうと思っていたのに、なぜか突然その『寺院揺曳』という過去原稿のkindle出版に舵を切って目下推敲にとりかかっています。
もう少ししたら『寺院揺曳』のkindle出版が終わります。それで気持ちに余裕が出て更新の滞っていたこのブログに気持ちが向いたのでした。
以下、Twitterからの転載です。
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2023年1月12日
RTさせて頂いた澤田直氏による「イメージと哲学 20世紀フランス思想の映像論」 私はようやく今日全四回を拝聴しました 最後はロラン・バルトの『明るい部屋』 もう食べてしまいたいくらい好きとかつて思った写真論のこのご本 でも内容をすっかり忘れて情なく思っていたのですが 今日拝聴して
写真は存在を示すものではない そこにかつてあったことを意識するもの という展開に Twitterで流れてくるアジェとかの仏の古い写真をRTさせて頂くたびに ああ かつてこういう風景があったのだ と見とれてRTボタンを押しているのがそれだったんだと バルトが私の中で生きていたことを感じました
でも 絞首刑の青年の写真は じっさいに『明るい部屋』にあったか覚えてなくて 例として分かりやす過ぎて怖かったです 明るい部屋はバルトの晩年の写真論だったと そうなんですね お母さまの例があっての思索の深まり いい時間を過ごさせて頂きました 岩野卓司先生 本当に有難うございました
2023年1月13日
おはようございます 私のロラン・バルト『明るい部屋』は古い版で銀色のカバー ハトロン紙がもう破れています 大切な一冊で本棚のいつも見える正面の棚に 久しぶりに出して見ました 昨日の澤田直先生のお話の余韻をまだ引きずっています 考えたら私には歴史や古典をするよりも先にこの世界がありました
時間と空間 特に時間論が私の根底なのはこの『明るい部屋』が原点なんですね 鎌倉の源氏物語とか目下推敲している佐々目遺身院のような研究とか書き物はその時間と空間を表象するための素材 と言ったら言い過ぎかもしれませんが 考え方としてはそうだったんです だからいくら古典を書いても一般の方々
と違う そうわかったからには私はもう独自の私の路線で突き進みます 昨日のお話ではバルトの写真論は初期と晩年とあって 明るい部屋は晩年 初期のは全くの記号論的で無機質 お母さんの死という体験があっての明るい部屋 バルトにしても自身の体験無くしてこれは書けなかった 私の華鏡もそうなると思う
私のロラン・バルト『明るい部屋』には青インクの線や書き込みがぎっしり ふと開いたら昨夜のお話のメインテーマのお母さんの死から写真論が展開することになったそのページ ここ まさにこの文章 まさにプルーストであり私にはシモンのアカシア こういうのが私の「文学」です ここに還ろう!
ある日私はナポレオンの末弟ジェロームの写真を見た。そのとき私はある驚きを感じて思った。私がいま見ているのは、ナポレオンを眺めたその眼であると。私はその驚きを人に話してみたが、誰も驚いてはくれず、理解してさえくれない←『明るい部屋』の冒頭です 再読したくなって開いての冒頭 まさにこれ
私が感じていることです 誰も理解してくれない 書くことで必死に訴えてきましたが心から理解して頂いたと安堵したことはなかった そういうことだったのですね そして今日 理解してくれる人 バルトに再会しました なんか とても嬉しい