2023.7.31 Twitterからの転載……小説『白拍子の風』のペーパーバック版の出版に向けて準備をしています
『白拍子の風』は昨年末にkindleで電子書籍の出版をしていましたが、そのペーパーバック版を作ろうと原稿の校正にかかっていました。猛暑で活力を奪われて進みませんでしたが、とにかくこの七月中にはと頑張って、昨夜その推敲を終わりました。やっと気持ちも整理できてきましたので、ペーパーバック版までの覚悟と経緯を呟いたTwitterのコメントを転載させていただきます。
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7月30日
西洋ニンジンボクの花はもうとっくになくなりましたがあまりに暑いので涼やかな写真を 今朝伸びた脇芽を切って花がないその枝の束を花瓶に挿して飾っているのですが廊下に清浄な気のするいい匂いが漂っています 白拍子の風を今月中に仕上げる予定だったのにもう月末 猛暑で活力を奪われた七月でした
白拍子の風より:いつ火を入れたのでしょう。中庭には篝火が赤い火の粉をはぜさせ燃え盛っていました。範理さまの足音が静かな明け方の庭に響きました。ひとときの静寂のあと範理さまは舞いはじめられました。其駒ぞや…… ←其駒揚拍子も御神楽の一つ 白拍子の風の中で最も官能的な箇所の推敲を通過
ふうっと やっと一つ一つの山を越えて終盤に近づいています 終盤になるほど山場だらけだから取りかかるのに覚悟がいって この猛暑で体力を削がれていると全く進みませんでした
白拍子の風は昨年末に電子書籍出版しているのだけれど あの時はとにかく早く過去の原稿の救済を済ませたいとばかりに事務的に推敲をしていました そうした救済措置を全部終わった余裕ある気持ちでとりかかっているペーパーバック版の推敲 今まで鎌倉の源氏物語の問題が全部片付いたら今度こそ自分の
文学の金字塔となる小説を書くのだと思っていたのですがもうこの白拍子の風が私の生涯の金字塔でいいと思えてきました それくらい私自身が好きな世界 なぜこれをそう思わないできたかといえば当時これをわかって下さる方と巡りあえてなかったからです ただお一人菱川善夫先生を除いては
他人の評価を気にするわけではありませんが 当時の私にはまだ見る目ができてなく 他人からあれは良くないと言われるとなんとなくそうなんだ〜みたいに受けとめてしまっていました なのに大分後になって同じ方から あれを読み返したら良かった なんて言われたり 今は自分で見る目ができてきました
先程ツイートしたあと気がついたのですが 菱川善夫先生は本質が国文学者でいられながら評論家になられたからしがらみに縛られない自由なお立場で私の作品を見て下さっていたのですね そうならば紫文幻想も見て頂きたかったと今更に 白拍子の風の推敲 勢いがついて最終章 今夜中に終わります
想像力の犯罪性 久しぶりに出してみました 菱川善夫先生の評論集『飢餓の充足』 先生がこれを送って下さった時に書いて下さった言葉が想像力の犯罪性 改めてそうなんだ〜と納得しました 菱川先生は短歌の評論家でいられましたが 実は国文学の風巻景次郎門下で三羽烏の一人と呼ばれていたそう
国文学者になることを望まれながら短歌評論の道を選ばれたのでした そういう事情を知らない私は源氏物語の二大写本の研究を始めて書いた論文を送らせて頂いた時 光行と定家がドッキングし と私の源氏物語の写本研究を最初に評価して下さったのが不思議でした 白拍子の風も当時菱川先生がただ一人
認めて下さって このご本を頂いたのでした 犯罪性 には今開いてもどっきりしますが 日中推敲した部分はまさにそれでした この辺りから終盤に向かって気持ちがどんどんきつくなっていくのを察し 先生がお住いになってられる北海道から馬鈴薯を一箱陣中見舞いと送って下さったのをよく思い出します